Loading...

一覧へ

浅海 剛 代表取締役CEO

『超個人的な悩みを解決するため』不動産テック事業を始たホントのワケ

聞き手 浅海さん、この記事読みました。

「不動産会社と売り主のミスマッチをなくしたい」–コラビットが提案するフェアな売買取引
  • リクエストの多い映画を映画館で上映するオンデマンドサービスを手がける「ドリパス」でCTOをやっていた。
  • そのサービスをヤフー社に売却された後に、次は社会問題を解決するようなことをしようと思った。
  • 空き家問題や日本の不動産の中古流通量が欧米に比べて著しいという社会課題があったので、「不動産」をやろうと思った。

聞き手 他に理由とかってなかったんですか?!

──スタートアップ買収後に訪れた2つのロックアップ経験

浅海 実は「AI査定やろう!中古流通やろう!」と決めたのは完全に個人的な理由だったんですよ

聞き手 知りたいです…!

浅海 去年(Rubyビジネスユーザーカンファレンスで)ちょうどこの話をしたのでその時のスライド見ながらいきますね。 大元はここからはじまるんですよ…

「ロックアップ」って言葉聞いたことあります?

聞き手 はい、スタートアップが買収された際に買収後もちゃんと事業が運営できるよう、 経営陣を一定期間在籍してもらうための契約のことですよね?

浅海 そうそう! ありがたいことに、私もこのロックアップの対象になってしまいまして。 数年間、会社をやめることが出来ないという状況に追い込まれました。

時を同じくして、実はもうひとつのロックアップを同時に抱えてました。 それが買ったばかりの自宅だったんです。

聞き手 2つのロックアップの影響でどうなられたんですか?

浅海 買収前は自宅から近くの横浜市内で仕事してたんです。ドリパスは都内にあったんですが、働く場所は自由だったので。 買収で職場が強制的に変わり、六本木で働くことになってしまい、片道2時間、往復で4時間の生活を送らざるを得ない状況になったんですよ。

聞き手 なるほど。 買収後のロックアップで、買収先の会社で働き続けないといけなくなられた。 しかも、自宅は購入したばかりでローンももちろんある。 そんな簡単に売れるかはわからないままだと売れるに売れない。 これが自宅ロックアップであると。

浅海 そうそう、まさに。 家を買うって人生において一番高い買い物だよね? めちゃくちゃ考えて2年くらい探して「よしここなら大丈夫だ」って重い決断をして買ったんですよ。

聞き手 わかります。

──家は買ったら一生そこに住むもの。自宅は売れないものである。

浅海 僕が買ったのは新築の戸建て。一生そこに住む覚悟で買ったんです。 もう引っ越しはしないという前提で。

聞き手 そうですよね、私もそうでした。(笑)

浅海 通勤時間が往復40分から4時間に変わるってものすごい変化で。 4時間って覚醒時間が16時間だとしたらその25%なんですよ。人生の1/4を通勤時間で捨てている。しかもYahoo!時代の仕事は楽しかったので仕事時間も削れない!家も買ってしまったので引っ越しも出来ない!仕事時間削らない私が完全に悪いんですが(笑) 家族の時間も減って夫婦仲も悪くなって一時期は家庭崩壊寸前という状態にまで行ってしまったんですよ。

聞き手 それは大変ですね…。

浅海 不動産屋さんに行って相談すれば良かったんだろうけど、まったくその気になれなかった。 不動産テックやっておいてあれなんですが、、、 実はその当時は不動産屋さんが苦手というか、騙されそうで怖いというイメージを持ってたんです。 まず、自宅を買うときにもいろいろな不動産業者の方に話を聞きに行ったのですが、みんな言ってることが違っていて… どれが本当の情報なんだ?と不信感を持ったんです。

聞き手 私も全く同じでした。

浅海 どうでした?提案をいろいろ聞いてみて。

聞き手 よくわからん!って感じでした。(笑)

浅海 やっぱそうなるよね(笑) エンドユーザーはめったに不動産取引なんてしないから、どうしても不動産に詳しくなれないし、よくわかんないよね。 ちなみにはまちゃんはなんで賃貸という選択肢ではなく、購入という選択肢をとったの?

聞き手 私は賃貸よりも購入した方が資産になるというフレーズをよく聞いていたので、「買った方が良いのか」という超単純なロジックで決めました。 当時引っ越しすることも想定していなかったので、仮に引っ越しが発生しても戸建てではなくマンションなので売れやすいのでは?と思っていました。 なので、将来的に売れる可能性が高い物件をと決めていましたね。

聞き手 おぉーー。ちゃんと考えて買ってる。さすがや。。

聞き手 とんでもございません…

浅海 僕はその当時は資産価値っていう考えが全く無くてですね(笑) 単純に70歳まで賃貸と持ち家でお金の計算をして、どっちが安いのかって比較したんですよ。

聞き手 そこまでは考えてなかったです。(笑)

──本当に家は売れないのか?不動産業界の通説を疑ってみた結果たどり着いた答えとは?

浅海 ちなみに計算する前は賃貸の方がお得だと信じてました(笑) あまりにも周りに家買え買え言われるんで「賃貸のほうが安いんだよ!」って反論するために計算したんですよ。 で、いろいろと計算した結果、超意外な事に賃貸にすると人生詰んじゃうなと。 老後がホントにやばい…赤字になってしまう。いや、まっかっかの大赤字。 ものすごいショックでした。このままじゃやばい!買わないと詰む!ってなって家を探すことにしたんです。 いったん「買う!」と決めると家探しって楽しいんですよね。このときも資産価値とかまったく頭になく「ウッドデッキを作れる家」とかそういうことしか考えてなかったです。 探すこと2年、やっと決断できる家に出会えて即決。満を辞して自宅(戸建て)を購入したんですよね。 が、結果…

聞き手 悲惨ですね…

浅海 まさか会社が買収されるとは思ってなかったですからね。 で、この問題を解決するために脳内会議したんです。

家は買った瞬間に値下がりするっていう都市伝説聞いたことない?

聞き手 ありますあります。 なので、私は将来的な転勤や引っ越しリスクを考えて、購入した時よりも売却するときにプラスにならないまでも出来るだけ赤字分を減らせるであろう物件を選びました。

浅海 けっこう考えてる。。僕は資産価値とか考えたこともない超絶不動産素人だったので、さらにひどくてですね。その値下がりする都市伝説を過大に信じてたんです。 「新築は買った瞬間に半値八掛け」みたいな、どこで聞いたかも分からない都市伝説も信じてた。 なので、すでに買ってしまっている僕からすると売るという選択肢は全くなかった。 買ったばっかで住宅ローンもほぼまるっと残ってたし。 ということは自己破産しないと引っ越しは不可能じゃん。。。って思ってた。

聞き手 おっしゃる通りです。

浅海 そこで、なぜ中古物件は価値が低くなるのか?を調べたんですよ。 すると、どうやら日本の場合は中古物件マーケットが弱いらしい。 弱いっていうのは、流通量が圧倒的に少ないって意味ね。 新築を買う人ががほとんどで、中古物件はほとんど売り買いされていない。と

聞き手 そうなんですね!

浅海 で、浅海の脳内会議はこんな感じになったの。 自宅が高く売れれば、引っ越せるんだけどなーーーーーーー ↓ そもそもなんで中古物件になると安くなるんだよ!?(怒) ↓ どうやら日本は中古物件マーケットが未発達で流通が少ない。だから安いらしい。 ↓ 中古物件マーケットが盛り上がれば中古物件の価格は上がっていくはず!!!!! ↓ すると、いつか自分も引っ越せる!!!!! ↓ 「よし!中古物件流通の活性化を事業にしよう!」(これが事業ドメインになった) ↓ では、どうすれば中古物件の流通量が伸びるんだろう? ↓ そういえば、そもそも自宅がいくらで売れるかってわかりにくいよな。 てか俺も知らないし。。 ↓ いくらで売れるかわからないのに自宅を売る検討なんでできるはずも無いよな。 不動産会社に相談するのもかなーり敷居が高いし。。。 売却への入り口「価格の把握」が難しいから中古物件の流通量が伸びないんだな!(事業仮説) ↓ 「自宅の価格が簡単にすぐわかるサービスを作れば、気軽に価格を見る人が増えて、それがきっかけで家を売る人が増えて、中古物件マーケットが活性化するのでは!?」(具体的な方法の決定)

聞き手 エンジニア発想ですね。(笑) それで「HowMa」を思いつかれたんですね!

浅海 実はそうなんです(笑) まさにこれ!

聞き手 めっちゃ良いフレーズ(笑)

浅海 実際に最初にリリースしたプロトタイプがこれ。リリース当時は「全国の中古物件の相場が見れる」だけのシンプルなサービスだったんですよ。

聞き手 すごい!

浅海 はてぶのホッテントリ入りする程度にはバズりました(笑) で、当然… 「うちの家を具体的に査定してみたい!」 ってなるよね?(笑)

聞き手 当然、なりますね。

浅海 プロトタイプを作って2ヶ月後に自宅査定機能を追加したんです。

聞き手 ドキドキ

浅海 僕の中で勝手に想定したのが、大体2,500万円くらいかな?と思っていた。

するとAI査定をした結果がこれ まさかの3990万!

聞き手 ほう! 浅海さん、その時どう思われたんですか?! やったー!!!って感じですか?

──うちのAIバグってない!?…と全員がツッこんだ。

浅海 いやいやいやいや、、、、、 うちのAI間違ってんじゃね?って思ったね。(笑)

聞き手 そっちですか?!(笑)

浅海 CTOの川原に「たぶんうちのAIバグってる」とか言ってですね、ロジックとコードとデータも確認してもらって『いや、バグってないです』とか報告もらって 「いやいやいやホントか~?」とか思いながらですね、 本当にこの値段で売れるのか?試しに売ってみたんです。 正直言うと、家を売る人の気持を深く知りたいし、職場の近くに引っ越しもしたいしで、全力で嫁を説得して半ば強引に売ることにしたんです。最後は折れて許してくれた嫁には感謝しか無いです。 で、その結果がですね。

──「えーーーーー!」に変わった瞬間。

聞き手 うおーーーーーー 結果を早く知りたい…!

・ ・ ・

浅海 売れたんですよ、これが。 3980万で。 「本当に売れた、、、、」

聞き手 ホントだ。 しかもご丁寧に通帳の証拠付き。(笑)

浅海 ちゃんと証拠として出しておかないとね。(笑) 家を売って引っ越したおかげで人生がかなり変わりました! 通勤時間も減って家族の時間も増えて

聞き手 この体験からこのサービスを本気でやろうと決められたんですね。

──知らないからこそ現状の中で生きてしまっている多くのユーザーの方を助けたい。

浅海 そう。 僕みたいな人って多くいるんじゃないかと思ったの。 自宅を購入した時は一生この家に住もうと思っていたんだけど、 何かをきっかけに人生が少し変わって、家と人生がアンマッチになっている人。 それでも「うちがいくらで売れるかわかんない」「家が売れるか検討もつかない」という理由でそのままズレを我慢している人。 いっぱいいるんじゃないかなって 「家の価格がカンタンにわかるだけで、その後の人生がガラッと変わることがある」 これがHowMaを提供し続けている僕個人の根源にある思いです。

聞き手 ご自身で身を持って体験して、悩み苦しんだ結果たどり着いた解だったんですね。 なんか感動しました。

──自分が体験したからこそ提供できる価値

浅海 僕はけっこう不器用で。 自分自身の課題とか興味につながってないと120%のチカラが出せないんですよね。 こういう原体験がない事業も過去に何度かトライしましたが全て失敗しています(笑) だからこそ体験していこうと。課題感があることをやろうと。 自分が体験したからこそ、提供できる価値を届けたい。 家を売ろうか悩むってどういうことなのか、家を売るってどういう体験なのか、それをちゃんと自分で経験して、ふかーーーく理解した上でこそ良いモノが作れると信じてるんです。

聞き手 原体験に基づいてのサービスだったんですね。 知らないから困っている方々ってものすごく多いと思いますね。

一覧へ